2017年06月07日

「第62回全日本プロ選手権自転車競技大会」が開かれました(そのE・最終回)

和歌山競輪場で、5/29(月)に「第62回全日本プロ選手権自転車競技大会(全プロ競技会)」が行われました。寛仁親王牌のシード権をかけて、スター選手・トップ選手が、普段の競輪とは違った雰囲気の中、熱いレースを繰り広げました。その「全プロ競技会」の様子を紹介する6回シリーズ。今回が最終回です。

スプリント決勝1本目と、3位・4位決定戦に続いて行われたのは、エキシビションとして行われた女子ケイリンの順位決定戦です。決勝進出を逃した6人が対戦します。今回のメンバー構成から、ルーキー112期生が優位に見えますが、先輩格の野口・山本・中嶋はこれまでのガールズケイリン和歌山開催の取材で顔を合わせているだけに、頑張って欲しいところです。6人がスタンバイを終えると、ペーサー(誘導)がBKからやって来て、レースが始まりました。

<VTR>初周の並びはE吉村早耶香−A太田りゆ−D中嶋里美−C中西叶美−B山本レナ−@野口諭実可の順。

女子ケイリン順位決定 2周目2角

女子ケイリン順位決定 2周目2角


残り2周のHSでペーサーが強制退避すると、正攻法の吉村が腰を上げて徐々にペースを上げて行く。後方からの仕掛けはないが、番手追走の太田が車間を切って仕掛けるタイミングを計る。

女子ケイリン順位決定 ジャン3角の攻防

女子ケイリン順位決定 ジャン3角の攻防
正攻法のE吉村が、徐々にペースアップ。後方からの仕掛けはなく一本棒が続くも、A太田が車間を切って後方からの仕掛けに備える。



吉村が最終HSからさらにペースを上げようとするも、中嶋が一気に吉村を叩きに出る。これに中嶋後位の中西も追走する。

女子ケイリン順位決定 最終1センターの攻防

女子ケイリン順位決定 最終1センターの攻防
先行するE吉村をD中嶋が最終HSで叩いて先行勝負。これをC中西が追走する



中嶋追走の中西が最終BKからすかさず捲り返すと、これに切り替えた太田も後捲りで参戦。さらに捲り追い込みに出た野口も加わって、前団は混戦状態になる。

女子ケイリン順位決定 最終2センターの攻防

女子ケイリン順位決定 最終2センターの攻防
叩き先行のD中嶋をC中西が番手捲り。ここへA太田が切り替え、@野口も捲り追い込みに出る



結局、中西の捲りを追いかけた太田がゴール寸前で中西を捉えて、差し切り勝ちを決める。2着には野口が続き、中西が3着に粘る。

1着:太田りゆ(埼玉) 決まり手:差し 参考上がり:13秒380
2着:野口諭実可(群馬)
3着:中西叶美(愛知)



ポテンシャルの高さでは屈指の太田が、追い込みとはいえ1着になり、積極的に仕掛けた中西も3着に入るなど、ルーキーの力が目立った順位決定戦でした。続いて女子ケイリンの決勝戦。地元和歌山の山本知佳に頑張って欲しいと願いながらも、在校上位の大久保花梨や梅川風子などルーキー5人が相手で、実力拮抗の厳しい戦いになるのではと思いました。そんなことを考えている間に7人の選手が発走位置に就くと、ペーサーがBKからスタート。レースが始まりました。

<VTR>初周の並びはF元砂七夕美−A大久保花梨−E坂口楓華−D内村舞織−@山本知佳−B梅川風子−C鈴木美教の順。

女子ケイリン決勝 1周目2センター

女子ケイリン決勝 1周目2センター


残り2周のHSでペーサーが強制退避すると、早くも梅川が上昇。併せるかのように元砂番手の大久保が前々踏み上げて行く。梅川は構わずジャン前BKから更に踏み込み、大久保との主導権争いを挑む。

女子ケイリン決勝 ジャン過ぎ2センターの攻防

女子ケイリン決勝 ジャン過ぎ2センターの攻防
B梅川を併せるかのようにA大久保がハナを切るも、梅川は構わず叩き返しに出る



梅川は抵抗する大久保を叩いて主導権を奪う。3番手に割り込もうとした坂口は無理をせず、外並走からチャンスをうかがう。山本も坂口後位まで追い上げる。

女子ケイリン決勝 最終1センターの攻防

女子ケイリン決勝 最終1センターの攻防
B梅川は最終HSでA大久保を叩いて先行勝負。追い上げたE坂口は3番手に割り込まず、外並走でチャンスをうかがう。@山本も坂口後位まで追い上げる



叩かれた大久保は、梅川の番手に収まるとすかさず番手捲りで反撃。後続を一気に置き去りにする。坂口も追走できず。山本が外を踏み上げて、捲り追い込みに出る。

女子ケイリン決勝 最終2センターの攻防

女子ケイリン決勝 最終2センターの攻防
B梅川の番手にはまったA大久保が番手捲りに出ると、後方を千切ってリードを広げる。E坂口は追走できず、@山本が捲り追い込みに出る



大久保は2着に4車身の大差を付けてVゴールを駆け抜ける。2着には2センターから捲り追い込んだ内村が突っ込み、梅川が3着に粘る。

優勝:大久保花梨(福岡) 決まり手:捲り 参考上がり:13秒159
2着:内村舞織(福岡)
3着:梅川風子(東京)



112期在校1位の大久保が強さと巧さを見せつけ、見事な優勝を飾りました。梅川との叩き合いに屈したかと思いきや、番手にはまってからの捲り返しは実質休みなしの踏み返しでした。さらに2着の内村も大外伸びるコースを踏み切っていましたし、梅川の粘り腰も素晴らしかったです。山本にもチャンスはあったかと思いますが、早い段階から前々踏み続ける展開に苦しめられたようにも見えました。7月のデビュー以降、先輩格選手の上位級とのレースでどの程度肩を並べられるかというのは、やってみなければ分かりませんが、このレースを見て「112期生はかなりレベルが高そうだ」という印象を植え付けさせられたような気がしました。

スプリント決勝2回戦終了後、女子ケイリン「わかちゃんグランプリ」の表彰式が行われました。ルーキー3人、しかも福岡ワンツーで表彰台に登壇します。

女子ケイリン表彰式

「わかちゃん」も交えて女子ケイリン表彰式
左から2位:内村舞織、優勝:大久保花梨、3位:梅川風子



表彰台の位置が逆光だったため、再度メインスタンドを背にしての写真撮影を報道陣が要求。3人と「わかちゃん」の笑顔がはじけていました。

笑顔がはじけるルーキー3選手と「わかちゃん」

笑顔がはじけるルーキー3選手と「わかちゃん」


そしていよいよ競技会のフィナーレとなる、ケイリンの決勝を迎えることになりました。発走直前の控えテントを覗きましたが、談笑する選手がいるなど意外にリラックスした雰囲気でした。

意外にリラックスしているケイリン決勝出走選手

意外にリラックス(?)しているケイリン決勝出走選手


女子ケイリンの表彰式が終わり、9選手がいよいよバンクに登場。全プロチャンピオンと「親王牌」日競選理事長杯シードを賭けた最後の戦いの火ぶたが切って落とされました。西日が差しこむスタンドには、まだ大勢のファンが残ってレースの行方を見つめていました。

<VTR>初周の並びはD浅井康太−E原田研太朗−C山田義彦−G中村浩士−B深谷知広−H稲川翔−A新田祐大−@脇本雄太−F三谷竜生の順。

ケイリン決勝 2周目HS

ケイリン決勝 2周目HS
西日差し込むメインスタンドには、大勢のファンが残っていた



残り2周でペーサー(誘導員)が強制退避。しかし隊列は一本棒のまま変わらず、ペースだけが上がって行く。そして最終HS進入の4角から、正攻法の浅井が思い切って成り行き先行を仕掛ける。

ケイリン決勝 ジャン4角の攻防

ケイリン決勝 ジャン4角の攻防
ペーサー退避後も仕掛ける動きがないのを見て、D浅井が成り行き先行を仕掛ける



この動きを見て、5番手位置の深谷が最終HSから怒とうの捲り返しに出ると、一気に浅井との差が詰まって行きます。

ケイリン決勝 最終1センターの攻防

ケイリン決勝 最終1センターの攻防
D浅井が快調に先行するなか、最終HSから捲り返しに出たB深谷が前団に迫る



深谷は最終BKで浅井を捉えると、後続を千切ってセーフティーリードを築く。深谷後位の稲川も千切れながら必死の追走を見せる、8番手位置の脇本も最終2角から捲り追い込みに打って出る。前団との距離を縮めていくものの、深谷との差はなかなか縮まらない。

ケイリン決勝 最終2センターの攻防

ケイリン決勝 最終2センターの攻防
最終BKでD浅井を捉えたB深谷は後続を千切って行く。C稲川が必死の追走を見せるも車間が開いていく。@脇本が捲り追い込むもなかなか差が縮まらない



結局、深谷が2着に4車身の差を付けVゴールを駆け抜ける。稲川後位の新田が直線で稲川を差し交わして2着に入り、諦めずに踏み続けた稲川が3着を確保する。

優勝:深谷知広(愛知) 決まり手:捲り 参考上がり:10秒666
2着:新田祐大(福島)
3着:稲川翔(大阪)
4着:三谷竜生(奈良)
5着:脇本雄太(福井)
6着:山田義彦(埼玉)
7着:中村浩士(千葉)
8着:原田研太朗(徳島)
9着:浅井康太(三重)



レース直後のウイニングランで、深谷はスタンドから万雷の拍手に大きなガッツポーズで応えていました。

優勝した深谷はガッツポーズでスタンドからの祝福に応える

優勝した深谷はガッツポーズでスタンドからの祝福に応える


優勝した深谷以外にも、決勝という舞台で思い切った先行勝負を仕掛けた浅井にも「よくやった!」「男気見せたな!」という健闘をたたえる拍手が送られていました。

これですべての競技が終了。残るはスプリントとケイリンの表彰式のみとなりました。まずはスプリントの表彰式です。

スプリント表彰式

スプリント表彰式
左から2位:河端朋之、優勝:渡邉一成、3位:金子貴志



そしてケイリンの表彰式です。3位の稲川を先頭に3選手が表彰台に登壇しました。

ケイリン表彰式

ケイリン表彰式
左から2位:新田祐大、優勝:深谷知広、3位稲川翔
深谷は向かって左端のTVカメラに親指を突き立てる



3人は花束をスタンドに投げ入れた後、女子ケイリンと同様、報道陣の求めに応じて再度メインスタンドを背にしての写真撮影に応じてくれました。晴れやかな3選手の笑顔が夕日に輝いていたのが印象的です。

笑顔がはじける3選手

笑顔がはじける3選手


そして閉会式の最後に、池田智毅・日競選和歌山支部長が閉会宣言して、競技会の全スケジュールが終了しました。
5/27〜28の記念競輪に続き、私も含めて和歌山のファンはスター選手の走りを十二分に堪能されたことと思います。次に和歌山で全プロが行われるのがいつになるのか分かりませんが、そのチャンスがやって来ることを期待しつつ、夕闇迫る競輪場を後にしました。

トップスター選手の皆さん、感動をありがとう!!


ちなみに、今年の秋の近畿地区プロ競技会も和歌山競輪場で行われるとのこと。その競技の模様は、また当ブログでご紹介できればと思っております。

(全プロ競技会の項 おわり)
この記事へのコメント
わかちゃんグランプリは予選に続いて順位決定戦・決勝戦ともにルーキー達の走りが素晴らしかったです。昨年デビューの選手達が苦戦中ですが、今年のルーキー達はひと味違う(*^_^*)?
ケイリン決勝戦、浅井のスパートにより勝負はみえました。スンナリと中団確保の深谷が捲るのが読めた私、盛り上げるスタンドで ひとり醒めてました(;^_^A。ナショナルルールをそのまま持ってきてもダメじゃないでしょうか? ガールズも残り2周で誘導退避は現状と差があり過ぎます(ルール変更を把握してなかった私、誘導の三橋選手に苦言を呈する声を上げてしまいました。ゴメンナサイ)。全レース終了後に「このルール変更はアカンわぁ、ボートレース(の進入固定)やないんやから」の声を私が上げると、他からもそうやそうやという雰囲気が流れました。他の競技は一日楽しめましたが、ケイリンだけに関しては残念でした。
各競技に関してはここまでですが、お許しいただけるなら この全プロ競技会について気ままなコメントをあらためて(;^_^A。
Posted by コタカ at 2017年06月12日 12:34
コタカさんへ

各回連続で熱いコメントありがとうございます。
ケイリンについての私の意見は「その@」で書いた通りですが、仮に国際ルールの下での7人制になれば、予選レースを増やして敗者復活戦などを設けるか、全体のケイリン出場可能枠(人数)を減らすか、いずれかの選択を迫られるのではないでしょうか。
親王牌が自転車競技上位者に出場権が与えられている一方で、競技会として俯瞰的に見れば、参加者数がケイリンに偏重しているようにも見えます。現実問題として、競輪選手がみんな1qTTや4q個人パーシュートを得意としている訳ではなく、やはりケイリンに特化しているのは否定できないでしょう。
だからといって、競技会を現状よりも長時間(夜間や2日間にわたって)行うことも現実的ではなく、選手・ファンの不満を抱えたまま、「国際ルールでの9人制」でケイリンは行わざるを得ないのかもしれません。
また別にナショナルチームというのが存在しますが、NTの選手を破った全プロ優勝選手がそのまま世界選・五輪に出場できる訳でもありません。選手会本部はその辺りも考慮して、今後の競技会の運営のあり方を考える時期かもしれないと思いますが、どうでしょうか?
Posted by 山本D at 2017年06月12日 16:07
あの日は丸一日楽しみましたが、ケイリンのルールについては不満いっぱいでした。全プロ競技大会結果がェ仁牌競輪出走権直結となったのはいつ頃からだったでしょうか?競技として楽しむ選手も多いでしょうが、ビッグレース出走権がからむ限りは競技として成り立つルールは必要かと思います。個人的にはもっとケイリン以外の競技に出走権を。事実上走れば出走権ゲットのケイリンと 結果を残して初めて出走権を得られるその他の種目、私には大いに不満です。10年以上前の事ですが岡本大嗣選手(88期・当時愛媛)が団体追い抜きで優勝してS級昇格初戦がェ仁牌特選だったことがありました。賛否あるでしょうが、私はマンネリ気味のビッグレースメンバーより これもよかったと思える出来事でした。
追伸ですが、2002年に京王閣で全プロ競技大会を二日間開催したことがありました(競輪はその前日の一日開催)、確か1年限りで終わりましたね。
Posted by コタカ at 2017年06月15日 09:24
コタカさんへ

コメントありがとうございます。
「親王牌」は元々、現在の「全プロ記念競輪」と同じ意味合いで始まった開催で、始まった当初は「全プロ競技会→(翌日前検で)親王牌」でしたが、H6年に特別競輪(後のGT格付け)となった頃から、程度の差こそあれ、自転車競技優秀選手が出場権を獲得する仕組みになっており、その予備予選が地区プロ、予選が全プロというシステムが確立されたようです。
ケイリン以外の種目上位者に出場権拡大をという意見はごもっともだと思いますが、「競輪」という視点で考えれば、やはり「ケイリン」上位者に出場権を与えるべきという考えが根底にあるのでしょう。その証拠として、初日特選予選以上で走れるのが、1qTT・スプリントは3位まで、その他の種目は優勝者(チームメンバー)のみであるのに対して、ケイリンは決勝進出で初日特選予選以上が確保されている点が挙げられます。以前はケイリンは3着までが理事長杯スタートだったことも考えれば、ケイリン偏重であることは否定できないと思います。
ただ、ケイリン以外の種目の上位選手が「親王牌競輪」で上位(準決・優参)に来るかといえば、そうでないのも事実で、やはりケイリン偏重にならざるを得ないのでしょうね。選手もその方が楽(取り組みやすい)でしょうしね。
Posted by 山本D at 2017年06月15日 18:08
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