2017年06月04日

「第62回全日本プロ選手権自転車競技大会」が開かれました(そのB)

和歌山競輪場で、5/29(月)に「第62回全日本プロ選手権自転車競技大会(全プロ競技会)」が行われました。寛仁親王牌のシード権をかけて、スター選手・トップ選手が、普段の競輪とは違った雰囲気の中、熱いレースを繰り広げました。その「全プロ競技会」の様子を紹介する6回シリーズ(予定)。今回が3回目です。

お昼休みのファンサービスが終わり、バンク内には「競技開始5分前」のコールが。のんびりする暇もなく、午後の競技が始まります。

午後最初の種目はエリミネイションレース。20〜30人で行われ、チェックポイントごとに最後尾の選手が脱落して、最後の2人がスプリント勝負するというものです。この種目は、地元和歌山の椎木尾拓哉選手が全プロ上位経験があることから、ファンの期待が高まります。

24選手が参加して、1周のパレードラップの後、レースがスタート。最後尾を巡っての戦いが始まりました。

エリミネイションレースがスタート

エリミネイションレースがスタート


順調にレースが始まったかと思いきや、3周目の判定で内外離れていたこともあって「ドロー」のコール。これにはスタンドから、ヤンヤの歓声とともに「ちゃんと見とかんかいや!」というヤジも上がりました。僅差になった時、目視で即座に判定しなければならないのは、審判の立場で考えれば相当大変な種目だと思います。

そうこうする内に6周目のチェックポイントで「15番」の除外コール。配布された番組表で確認すると、なんと椎木尾選手ではありませんか。レース序盤での脱落に、ちょっぴり残念な思いが。「もうちょっと楽しませてよ!」とつぶやきながらも、その後のレースの行方を注視します。

エリミネイションレース 19周目4角の攻防

エリミネイションレース 19周目4角の攻防
残る選手は6人。連覇狙う小林(ピンクのヘルメットカバー)も優勝戦線に残る



残る選手が絞られるなか、20周目でも「ドロー」のコール。ここを乗り越えなければ、上位進出ができないだけにまさにサバイバルレースです。そして22周目BKで小林潤二(群馬)が一気にカマして後続の2車を千切って行きます。

エリミネイションレース 22周目4角の攻防

エリミネイションレース 22周目4角の攻防
小林(ピンク)がカマして、後続の2車を千切って行く



そして最終周回に入っても小林の勢いは衰えず、根本哲吏(秋田)をさらに千切って行きます。根本は追い付けないと諦めたような感じです。

エリミネイションレース 最終周回4角の攻防

エリミネイションレース 最終周回4角の攻防
小林(ピンク)が根本(白)を千切って、セーフティーリードを保ったままVゴールへひた走る



小林は、全プロこの種目2年連続3度目の優勝です。チームメートやスタンドのファンに手を振ったりガッツポーズを見せたりして、優勝を喜んでいました。

チームメートに手を振る小林

チームメートに手を振る小林

<最終結果>
1位 小林潤二(群馬)
2位 根本哲吏(秋田)
3位 西村光太(三重)
20位 椎木尾拓哉(和歌山)



地元ファンの期待に応えられなかった椎木尾の様子を確かめようと、記者室経由でバックヤードへ向かいました。私の顔を見るなり、椎木尾は「すんません」と頭を下げました。

ちょっぴり諦めムードの椎木尾

ちょっぴり諦めムードの椎木尾「落車で力入らなかった」


山本「どないしたん? 早々に除外されるなんて、残念やで」
椎木尾「もうちょっと前々いた方が良かったですね」
山「土曜日(全プロ記念競輪・初日)の落車が影響あったんかな?」
椎「昨日(全プロ競輪・最終日)は大丈夫やったんですが、今日になってちょっと右手に痛みが出て、力入らなかったですね」
山「次(取手記念)どうすんの? 出られそう?」
椎「宮杯前で大事を取りたいですけど、一つ走っておきたい気持ちもあるし…。直前まで考えます」

悔しさを押し殺すというよりも、落車で手負いの状態だったから仕方がない、という諦めの気持ちが垣間見えました。(結局、椎木尾は取手記念を走ることになりました)


続いてはスプリント1/4決勝です。8人が4組に分かれての一本勝負です。この後の1qタイムトライアルをバンク内で見るため、このタイミングからバンク内へ移動します。

1組目は渡邉一成(福島)と佐藤友和(岩手)の北日本同士の対戦です。インスタートで先行義務のある渡邉を佐藤が追い出しをかける流れでしたが、渡邉が2角からスパートすると、佐藤を寄せ付けず先着しました。

追い出しをかける佐藤を尻目に渡邉が先行

追い出しをかける佐藤(白&紫)を尻目に渡邉(白)が先行


2組は、河端朋之(岡山)と太田竜馬(徳島)の対戦。現・日本代表の河端と、未来の日本代表・太田とのマッチアップです。河端は最終1センターで、先行義務のある太田のインをすくってスパート。追いすがる太田を振り切って逃げ切り勝ちを収めました。

インに切り込んだ河端が太田を相手に先行

インに切り込んだ河端(白&緑)が太田(黒&赤)を相手に先行


続く3組は、金子貴志(愛知)と雨谷一樹(栃木)の新旧スプリント日本代表対決です。ともにスプリントの走り方を熟知しているだけに、接戦になるのではと予想しました。しかし序盤のスローピッチから、1センターの山おろしを使って先に仕掛けたのは金子。やや立ち遅れた雨谷は追いすがるも差は詰まらず、金子が先着しました。

1センターから金子が、雨谷よりも先に仕掛ける

1センターから金子(白)が、雨谷(黒&赤&白)よりも先に仕掛ける


最後の4組は、根田空史(千葉)と中川誠一郎(熊本)との対戦。1/4決勝もここまでタイム上位選手が勝っているだけに、中川にとって、ここはまさに「胸突き八丁」。後ろ攻めの中川がHSからペースを上げて追い出しをかけると、根田が2角から先行でスパート。中川が良い感じで差を詰めていきましたが、根田が直線で踏み直して1/4輪こらえて先着しました。

2角から根田が先行。中川が差を詰める

2角から根田(紺)が先行。中川(黒)が差を詰める


中川が敗れたことでスプリント5連覇がなくなりましたが、ある意味、タイム上位の選手が順当に勝ち上がった訳です。誰が勝ってもおかしくない1/4決勝の顔ぶれとなりました。

<1/4決勝結果>
○1組 渡邉一成(福島)○−× 佐藤友和(岩手) 参考上がり:10秒931
○2組 太田竜馬(徳島)×−○ 河端朋之(岡山) 参考上がり:10秒867
○3組 雨谷一樹(栃木)×−○ 金子貴志(愛知) 参考上がり:10秒536
○4組 根田空史(千葉)○−× 中川誠一郎(熊本) 参考上がり:10秒675

※いずれも左がインスタート


続く種目は1qタイムトライアル。選手宣誓を務めた稲毛健太選手が登場で、全プロでも過去上位入賞したこともあるだけに、ファンの期待がさらに高まります。

BKの出走選手控えテントにスタンバイする稲毛選手は、リラックスしているように見えました。こちらと目が合って「ガンバレ」とアイコンタクト。ニコリとスマイルを返してくれました。

スタンバイする稲毛

控え選手テントでスタンバイする稲毛


稲毛は5番目の出走。直前に走った滝本泰行(岡山)が、1分05秒346で暫定トップを叩き出したことでこのタイムが目標となります。ただ、バンク内は前日までとは打って変わって、やや強めの風が吹き始めてきました。条件は他の選手も一緒とはいえ、これはやや心配な要素。それでも50秒前からのカウントダウンは始まります。
発走直前の稲毛

発走直前の稲毛


そしてスタート。前半のラップは快調なペースで駆け抜けて行きます。2周目に入る直線で、同じ和歌山で近畿チームの助監督を務める川西亮介選手がゲキを飛ばします。

2周目に入る稲毛に川西がゲキを飛ばす

2周目に入る稲毛に川西(緑メガホン)がゲキを飛ばす


そして残り1周を過ぎると、ややペースが落ちているように見えました。場内実況の橋本悠督アナも「1分6秒を切れるのか!」と叫びます。ガンバレという思いを込めてシャッターを切り続けます。

稲毛のラストスパート

残り半周を切った稲毛のラストスパート


そしてラストの失速が響いたのか、タイムは1分05秒421。滝本を上回ることができませんでした。残念! その後はタイム上位の選手が走るだけに、どこまで順位が踏みとどまれるのかが注目でしたが、直後の大槻寛徳(宮城)が1分04秒266を叩き出してトップに立ちます。大槻選手には失礼ながら、意外な選手が暫定トップに立ったことに、私もスタンドのファンもビックリ仰天です。

後半以降には、前回大会上位に入った選手が登場。岐阜の竹内雄作にも注目が集まりましたが、タイムは1分04秒468。大槻のタイムを上回ることはできませんでした。

竹内は1分04秒468

竹内雄作(岐阜)は1分04秒468


続いては加賀山淳(千葉)の登場。加賀山は、最近コスプレウェアでの出場が“お約束”となっており、今回は「ウォーズマン」でした。やはり前半好ラップだったものの、後半に失速して1分05秒104にとどまりました。

「ウォーズマン」加賀山は1分05秒104

「ウォーズマン」加賀山は1分05秒104


そして最後の走者は、前年覇者の早坂秀悟(宮城)。暫定トップで同県の大槻が見つめる中、スタートして行きました。

大槻が見つめる中、早坂が爆走

大槻(ゼッケン10番)が見つめる中、早坂が爆走


早坂のペースは後半に入っても衰えず、そのままフィニッシュ。タイムは1分03秒399。唯一の1分03秒台を叩き出しての見事な優勝です。

早坂は早速、報道陣の囲み取材を受けます。「まだチームスプリントも残っているんで」と言いながらも、好タイムでの優勝に満足しているようでした。

囲み取材を受ける1qTT優勝の早坂

囲み取材を受ける1qTT優勝の早坂


<最終結果>
1位 早坂秀悟(宮城) 1分03秒399
2位 大槻寛徳(宮城) 1分04秒266
3位 竹内雄作(岐阜) 1分04秒468
7位 稲毛健太(和歌山) 1分05秒421



屋外バンクでのレースとしてはかなりの好タイムで、大会新まで0.243秒差まで迫るものでした。選手間でも「落ちない」「すげぇ」という声が上がっていました。

続いてはケイリン1/2決勝ということで、ケイリン目当てのファンがまたスタンドに続々と戻って来ました。


そのCに続く)
この記事へのコメント
目視による判定とあって ハッキリ着差が出ない時はドローになるエリミネーションレース、私なんかは相撲でいう取り直しが好きなもので 笑ってました。
スプリント二回戦もタイム通りの結果。ちとは下克上が起きないとね?
ひとり次元の違う走りをみせた早坂選手、1kmタイムトライアルではしばらく天下が続くのかな?
Posted by コタカ at 2017年06月09日 23:06
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