2015年10月15日

「紀の国わかやま国体」自転車競技会が開かれました(そのI)

9/26(日)〜10/1(木)の5日間、「紀の国わかやま国体」自転車競技が行われました。和歌山県チームが2年連続で総合優勝し、大会新記録も続出した今回の国体。和歌山県勢の活躍を中心に大会の様子を紹介する11回シリーズのリポート。今回が10回目です。


○競技最終日 10/1(木)

いよいよ競技最終日を迎えました。天気は朝から曇りで、時おり小雨も降るという予報。何とか良いコンディションで最後まで競技をしてほしいところですが、こればかりは私の力ではどうにもすることができません。もっとも「雨男」の私。初日のロードレースに続いての雨ですから、これは私のなせる業なのでしょうか(自慢するな!)。

この日は競輪場へ直行せず、普通に出社。そして国体情報番組を担当する三浦ちあきリポーター運転の車に同乗して、競輪場入りします(けっ、エラソ〜に上司面して!)。

バンクでは既に競技が始まっていて、エキシビションの女子スクラッチ決勝が行われていました。私は観戦をパスして4階の報道員控室に上がり、決勝種目のスタートリストを三浦さんの分と合わせて、公式記録のBOXから引き出します。そうしていると、この日最初の正式決勝種目・少年男子ポイントレースが始まるとあって、メインスタンドに移動。写真を撮るのにいいアングルを求めて、やや4角寄りの席に腰を下ろします。前日、電池切れを起こしかけたカメラは、夜のうちに電池充電を済ませていました。

少年男子ポイントレース決勝には、前日の予選で組1位で通過した山本選手が出場します。昨日、私を感動の渦に巻いた山本選手が、再度感動させてくれるのか楽しみなレースです。ポイントレースになじみのない三浦さんにルールや見どころなどを説明しながら、カメラを構えます。

1周のフォーメーションラップを終え、中川選手(埼玉)が先頭で号砲が鳴り、決勝24q(60周)のレーススタートです。第1スプリント(5周目)では、先頭集団後方で脚を貯めた金田選手(鳥取)が1位通過で5点を先取します。山本選手は第2集団で先頭交代を繰り返しながら、前団との差を詰めます。そして第2スプリント(10周目)で山本選手は、先行する小玉選手(福島)の番手から差し交わして1位通過。5点を挙げてトップタイとなります。

少年男子ポイントレース決勝 第2スプリントで山本が小玉を交わしにかかる

少年男子ポイントレース決勝 第2スプリント直前で、山本が小玉を交わしにかかる
(あまりに劣悪なアングルで申し訳ございません)



スタンドからは大きな拍手が送られます。私も「よしよし。その調子や、行け行け!」と声が出ます。しかし、その後は金田選手や徳田選手(京都)、貝原選手(福岡)らが7〜8人の先頭集団を形成し、代わる代わるポイントを追加します。山本選手は先頭交代のタイミングがうまく合わず、スプリントの時には7〜8番手位置というのが続いて苦戦を強いられます。第9スプリント(45周目)では前団に迫りましたが、6位通過でノーポイント。そうしている内に、最終スプリント(60周目のゴール)が近づき、獲得ポイント5点にとどまっていた山本選手は、前団との差が開いていたこともあって、8位入賞圏内から遠のいて行きました。

すると注目は優勝争い。ポイント首位は金田選手で20点。2位で追うのが15点の徳田選手で、徳田選手が1位でゴールすると5点追加で同点になります。しかも金田選手は後続集団で脚色いっぱいの流している状態。同点になればゴール着順での決着となるため、徳田選手の逆転優勝の可能性も出てきました。スタンド内外からの指示・声援が、一体化してバンク内でうねっているような状態です。そしてゴール直前、徳田選手が必死に先行して、逆転優勝が決まったかに見えました。

少年男子ポイントレース決勝 ゴール着順での逆転を狙って先行する徳田

少年男子ポイントレース決勝 ゴール着順での逆転優勝を狙って先行する徳田(京都、白&青)


しかし徳田選手は、番手を回っていた石井選手(群馬)にゴール寸前交わされ、2着通過。追加は3点で合計ポイント18点にとどまり、逆転優勝はなりませんでした。金田選手はそれを知ってか知らずか、スタンドからの拍手に迎えられ最後尾でのフィニッシュでしたが、ポイント合計1位で金田選手の優勝が決まりました。

山本選手は10位で入賞こそ逃しましたが、第2スプリントで1位をもぎ取るなど、よく頑張ったと思いました。2位に終わりましたが、徳田選手が見せた勝利への執念も見事で、涙が出そうなくらい感動しました。

次の種目は成年男子ポイントレース決勝。和歌山県からは窪木一茂選手が出場ですが、個人ロードレース・4qチームパーシュートと合わせて中長距離3冠がかかる大事な一戦です。

片桐選手(新潟)が先頭のフォーメーションラップを終え、号砲一発、30q(75周)レースのスタートが切られました。窪木選手はスタートから積極的に前団へ位置し、最初のスプリント(5周目)を2位で通過します。

成年男子ポイントレース決勝 第1スプリントで窪木が山下を追って2位で3点獲得

成年男子ポイントレース決勝 第1スプリント(5周目)で窪木(和歌山、オレンジ&青)が、山下(愛媛、オレンジ&黒)を追って2位通過し、3点を獲得する


その後、窪木選手は着実にポイントを重ね、一時ポイント首位に立ちます。

成年男子ポイントレース決勝 第3スプリントで窪木は原井に交わされ3位通過の2点を獲得

成年男子ポイントレース決勝 第3スプリント(15周目)で窪木(和歌山、最内のオレンジ&青)は、原井(福岡、紺&青)に交わされるも3位通過で2点を獲得


しかし、第4スプリント(20周目)を3位で通過して合計9点でポイント首位に立った後、窪木選手は後半に向けて脚を貯めるため、後続集団に車を下げます。すると、荒井(宮城)・浦田(岐阜)・吉田(奈良)の各選手が中間スプリントを1位で通過し、上位陣のポイントはダンゴ状態。窪木選手は、第7スプリント(35周目)で3位通過の2点を追加しますが合計11点で、その時点のトップ13点を挙げている荒井選手との差を詰め切れません。

成年男子ポイントレース決勝 第9スプリントで窪木はインに詰まらされポイントを追加できず

成年男子ポイントレース決勝 第9スプリント(45周目)で、窪木(4角のオレンジ)はインに詰まらされポイントを追加できず。1位通過は安原(大阪、白&青二本線)


成年男子ポイントレース決勝 第12スプリント 窪木は4位通過で1点追加

成年男子ポイントレース決勝 第12スプリント(60周目) 窪木(2センター)は4位通過で1点追加。1位通過は原井(福岡、紺&青)


窪木選手は中盤以降ポイントを追加しきれず、6着通過の13点、総合5位でレース終了です。少年男子と同様、成年男子の優勝争いも1点を巡る激しいレースとなり、最後のゴールスプリントで3着に入った荒井選手と、4着に入った原井選手がともに合計18点。結局、ゴールで先着した荒井選手が優勝しました。

窪木選手が入賞は果たしたものの中長距離3冠を逃したことで、スタンドはちょっぴり残念なムードでした。続く種目は、少年男子4q速度競走決勝です。永橋選手にこの微妙な空気を晴らしてもらいたいと、期待を込めました。

そのEでも書いたように、小さかった頃を知る永橋選手が、高校日本一を目指して桧舞台に立っていることに、もう大感動です。「頑張れ!」と声を上げたいところですが、報道ビブスを付けているため、さすがにそれはできません。スタンバイしている永橋選手に向かって、心の底からエールを送ります。「さぁ、思い切ってやって来い!」

輪乗りをする永橋選手 思い切って行けっ!

輪乗りをする永橋選手 思い切って行けっ!


10人の選手が横一列に並んで、スタートが切られます。スタートダッシュを決めたのが山田選手(岐阜)で1周目のBK線を奪います。しかし捲り気味に追い上げてきた今村選手(福岡)が、2周目のH→Bを連取して先頭責任をいち早く完了させます。永橋選手は先頭集団でじっくりと脚を貯める作戦でしょうか、先頭に立っても慌てず、すぐに先頭交代して中団に下がります。続く3周目HS線を平田選手(熊本)が奪うと、永橋選手は猛然と追い上げて単騎でハナに立ちます。そして3周目BK・4周目HS線を奪って、先頭責任を完了させます。

少年男子4q速度競走 4周目HS線を永橋が奪って先頭責任を完了させる

少年男子4q速度競走決勝 4周目HS線を永橋(和歌山、オレンジ&青)が奪って先頭責任を完了させる


スタンドから大きな拍手が送られる中、永橋は一旦後方に下がり、終盤戦に備えて脚を貯めます。すると今度は、安彦選手(埼玉)・長松選手(大分)が次々と単独で飛び出して、先頭責任を完了させます。これで先頭責任を完了させたのが4人。このままお見合い状態が続くのかと思いきや、白と黄緑のユニフォームを着た安川選手(奈良)が単独で猛然とスパートします。

少年男子4q速度競走 6周目BKから安川が大逃げを打つ

少年男子4q速度競走決勝 6周目BKから安川(奈良、白&黄緑)が大逃げを打つ


安川は3周半にわたって大逃げを打ちます。バンク3コーナー上部にいた奈良県チームの関係者が「安川、行け行け!」「安川、まだまだ行けるぞ、行け行け!」「安川、死ぬ気で行け行け!」と、メインスタンドにまで響き渡る大声で指示を出します。

しかし、安川選手は残り1周半で力尽き、やはり単騎で追いかけた山田選手に捉えられます。そして山田選手は、最終周(10周目)のHS線を奪って先頭責任を完了させると、さらにペースアップしてBK線も奪いました。オーラスで先頭責任を完了させて逃げ切るという作戦に出た山田選手。しかし、後続の先頭責任完了選手は黙っていません。山田選手を捉えんと、今村・安彦・永橋の3選手が山田選手に襲いかかり、残り半周のスパート合戦に入ります。優勝争いの最終盤で迎えた4選手のデッドヒートに、スタンドは声援とも悲鳴ともつかない声がこだまします。カメラを構えている私も、ついつい声が出てしまいました。

「湧也、頑張れ! いけ〜!」


しかし、先に山田選手を捉えたのは今村選手。永橋選手は、競輪で言えば、捲った今村ラインの3番手。少し厳しい展開です。

少年男子4q速度競走決勝 山田を先に捉えた今村が先頭でゴールに

少年男子4q速度競走決勝 山田を先に捉えた今村(福岡、紺&青)が先頭でゴールに向かう。永橋(和歌山、中央手前のオレンジ&青)が懸命に追い込む


そして今村選手が、2着に2車身の差を付けて堂々の優勝を飾りました。永橋選手は追い上げたものの、詰め切れず2位に終わりました。しかし今村選手は、今年8月にカザフスタンで行われた「ジュニアトラック世界選手権」のポイントレースで金メダルを獲得した選手であることを考えれば、大健闘です。

「よ〜やった! 湧也、おめでとう!」

声が自然と出てきます。目はウルウル状態で、いつ涙がこぼれてもおかしくありません。嬉しいのを通り越して、感動の極みでした。

続いては、成年男子4q速度競走決勝です。

レースは、廣瀬選手(福井)が1周目BK、新村選手(神奈川)が2周目HSを奪い、その後単騎で飛び出した川元選手(兵庫)が、2周目BK→3周目HSと連続で取って先頭責任を完了させます。するとその後、3周目BKを橋本選手(岐阜)が奪いましたが、4周目HSから原田選手(岡山)が単騎で大逃げを打ちます。既に先頭責任を完了した川元選手を周回遅れ(の結果、強制リタイヤ)にするほどの逃げでしたが、原田選手は残り2周を切ったところで後続につかまってしまいます。9周目BKを伊藤選手(東京)が奪いましたが、橋本選手が残り1周でラストスパートに出ます。橋本選手は、最終周回(10周目)のHS線を取って先頭責任を完了させると、そのまま逃げ切って優勝を決めました。2位はゴール6着も先頭責任完了者の原田選手。そして先頭通過1回の2選手のうち、ゴール先着(3着)の伊藤選手が3位に輝きました。


残る種目はケイリンです。まずは少年男子の7〜12位決定戦です。2着までに入ると、総合7位・8位で入賞となるだけに、ただの消化試合ではありません。

レースは、ペーサーの直後・正攻法から、福富(栃木)−東矢(熊本)−武田(京都)−桑名(埼玉)−吉田(福井)−富(山口)の順で周回。ペーサー退避から東矢が仕掛けて行こうとしますが、福富も突っ張って抵抗。ここへ吉田も加わって、前団が3車が雁行状態となります。そして最終1センターで強引に福富を叩き切った東矢が先行。しかし、外並走で一瞬脚を貯めた吉田が、最終3角から捲り上げて再スパートします。

少年男子ケイリン7〜12位決定戦 最終3角の攻防

少年男子ケイリン7〜12位決定戦 最終3角の攻防
東矢(熊本、白&オレンジ)が叩き先行も、吉田(福井、黄&赤)が捲り返しを狙って前団に迫る



結局、最終4角で東矢を捉えた吉田が1着になり総合7位、東矢番手を回って直線伸びた桑名が2着で総合8位にそれぞれ入賞しました。

続いて、成年男子の7〜12位決定戦です。レースは、ペーサー後位から、山本(東京)−深沢(山梨)−佐野(岐阜)−板倉(千葉)−碇(福井)−山地(香川)の順で周回。残り1周半でペーサー退避も動きはなく、そのまま山本が先行状態に入る。すると最終1角から山地が、捲り気味に山本を叩きに出る。山地が捲りを決めると、最終BKで深沢が山地の番手に切り替え追走する。

成年男子ケイリン7〜12位決定戦 ゴール前直線の攻防

成年男子ケイリン7〜12位決定戦 ゴール前直線の攻防
早目の捲り返しを決めた山地(香川、青)を追走した深沢(山梨、白&紫)が差し交わしを狙う



結局、深沢が山地を交わして1着に入り総合7位、深沢後位に切り替えた板倉が2着に続いて総合8位に、それぞれ入賞しました。

いよいよ残るは、ケイリンの少年・成年それぞれの決勝。競技会のフィナーレが少しずつ近づいてきました。


そのJ・最終回に続く)
この記事へのコメント
熱い戦いでしたね!そして、和歌山は最高の結果を出しました。拍手です。湧也はかれこれ7年位知ってるから、その成長を嬉しく思います。3年位前まではライバルだったんですがね?数々の表彰を受けて自転車競技に終止符です。競輪学校の試験を3人共無事にクリアして、再来年はバンクでクロモリ&勝負服を着た選手になってることを願ってます。興奮しながらの撮影でしょうが、合格点です。リポートは100点です!お疲れ様でした。
Posted by 岸和田オヤジ at 2015年10月16日 07:06
岸和田オヤジさんへ

「合格」を頂き、ありがとうございます。
湧也くんが愛好会(当時、今はバイチャC)に参加して、私と顔見知りになったのが、確か彼が小5の頃。その時の姿と今をダブらせると、彼は確かに成長したし、我々もそのぶん齢を取ったなという感じはします。
そして彼は、夢の実現に向かって、いま一歩一歩前に進んでいます。ある意味うらやましいし、今が最も幸せな時期かもしれません。でも、さらに幸せな瞬間をつかむためにも、今からの約10日間はまさに「合格」に向かってのラストスパート。一日一日を大事にして、競輪学校の試験に臨んでもらいたいと思います。私たちは、布居・南両君ともども、温かく見守ってあげましょう。
Posted by 山本D at 2015年10月17日 00:23
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/165654221

この記事へのトラックバック