2015年10月12日

「紀の国わかやま国体」自転車競技会が開かれました(そのF)

9/26(日)〜10/1(木)の5日間、「紀の国わかやま国体」自転車競技が行われました。和歌山県チームが2年連続で総合優勝し、大会新記録も続出した今回の国体。和歌山県勢の活躍を中心に大会の様子を紹介する9回シリーズ(の予定)。今回が7回目です。


競技4日目の午前中で、スプリントの少年・成年ともに決勝進出し、アベック優勝の期待が高まりました。そして、競技別総合優勝の可能性も限りなく高まりました。

続いては、少年4q速度競走の準決勝です。20人が10人ずつ2組に分かれ、各組5位までが決勝に進みます。和歌山県の永橋選手は2組で登場です。

1組は、スタートで今村選手(福岡)がスタートダッシュを決めてB→Hと先頭で通過して先頭責任をクリアーします。そしてここを小松原選手(福井)が追走して2周目BK線を取り、さらに3番手追走からアタックした渡口選手(山口)が3周目のH→Bを連取して先頭責任を消化します。その後、渡口選手は後続集団に下がって脚を貯める作戦に。すると今村選手と小松原選手が飛び出し、先頭交代を繰り返しつつ後続集団を大きく引き離します。

少年4q速度競走準決勝1組 5周目 今村と小松原が後続集団を大きく引き離す

少年4q速度競走準決勝1組 5周目 今村と小松原(2角テント脇)が後続集団を半周近く引き離す


結局、後半周回で小松原選手を振り切った今村選手が1着で、小松原選手は2着に入りました。そして、最下位10着でゴールも先頭責任を果たしていた渡口選手が3位となり、残るは1本も先頭責任を果たしていない7選手のゴール着順による4位・5位争いとなりました。そして、残り2周からのアタック合戦を制した長松選手(大分)が4位(ゴール3着)、安川選手(奈良)が5位(ゴール4着)で、それぞれ決勝進出を決めました。

予選とは違い、決勝進出ボーダーを巡っての心理戦も交えたレース形態となり、これはこれでなかなか面白く感じました。そうしていると、2組に登場の永橋選手がスタート位置に就きました。

少年4q速度競走準決勝2組 永橋がスタート位置に

少年4q速度競走準決勝2組 永橋がスタート位置に


そして号砲。各選手、一瞬お見合い状態になりましたが、山田選手(岐阜)がスタートダッシュを決め、1周目のBK線を奪います。

少年4q速度競走準決勝2組 山田がスタートダッシュを決める

少年4q速度競走準決勝2組 山田(岐阜、赤)がスタートダッシュを決める


山田選手はすぐに後続集団につかまり後方に下がります。そして2周目のH→Bと連続で清水選手(山梨)が奪って、先頭責任を完了させます。すると清水は後方に下がり、入れ替わるように渡邉選手(長崎)が先頭に立ちますが、これをマークした永橋選手が差し交わして3周目HS線を奪います。

少年4q速度競走準決勝2組 3周目HS 渡邉をマークした永橋が差し込みを狙う

少年4q速度競走準決勝2組 3周目HS 渡邉(長崎、赤&青)をマークした永橋が差し込みを狙う


スタンドに駆け付けた和北高の同級生も、永橋選手の先頭通過を、大きな声援と拍手で後押しします。その勢いで、永橋選手は続いてBK線も奪い、先頭責任を完了させます。今度は永橋選手を追いかけた山田選手が、永橋選手を差し交わして4周目のHS線を奪い、こちらも先頭責任を完了させます。

少年4q速度競走準決勝2組 4周目HS 山田が永橋を交わしにかかる

少年4q速度競走準決勝2組 4周目HS 永橋をマークした山田(岐阜、赤&白)が交わしにかかる


そして、4周目HS過ぎから後方集団の平田選手(熊本)が単独で飛び出し、BK線から先頭通過を続けます。先頭責任を終えた永橋・山田・清水の3選手は後続集団に下がって、先頭責任を果たしていない選手同士の駆け引きを、ある意味「高みの見物」です。

結局、平田選手は後続集団を半周近く引き離し、そのまま1着でゴールします。そして永橋選手はゴール8着でしたが2位、同様に山田選手が3位(ゴール9着)、清水選手が4位(ゴール10着)で勝ち抜けを決めました。そして残り1枠となった勝ち上がり。先頭回数0本の6人による激しいつば競り合いの末、安彦選手(埼玉)が制して5位(ゴール2着)をもぎ取りました。

同級生からの声援に応えながら、ゆっくりとスタンド前に戻って来た永橋選手。早い段階で先頭責任を果たして、脚を貯めておくという作戦が成功したからか、余裕すら感じさせました。私も目がウルウルしましたが、むしろ決勝でのレースぶりが楽しみになって、「泣くのはその後で」と思いました。

続いては、成年4q速度競走準決勝です。これも少年と同様、20人が10人ずつ2組に分かれ、各組5位までが決勝に進みます。

1組は、スタートから飛び出した吉田選手(栃木)をマークした新村選手(神奈川)がBK線を奪うと、一気にその後の先頭責任を果たして後方に下がります。そして、3周目のHSで川元選手(兵庫)、BKで廣瀬選手(福井)がそれぞれ先頭で通過すると、その後は近谷選手(富山)と伊藤選手(東京)の2人がアタック。先頭交代を繰り返しながら後続を引き離すと、レースはほぼ「勝負あった」となりました。結果、近谷選手が1着、伊藤選手が2着、新村選手が3位(10着ゴール)となりました。そして先頭通過1回の川元選手が4位(ゴール7着)、廣瀬選手が5位(ゴール9位)で、ここまでが決勝進出となりました。

2組は、こちらもスタートダッシュを決めた須貝選手(茨城)が、3周目BKまで7本連続で先頭通過を果たします。しかし須貝選手が失速して後続集団が襲いかかると、坂本選手(青森)、小林選手(群馬)が5周目のHS・BKをそれぞれ奪います。後半以降は、集団から抜け出した4選手がH→Bの順で先頭責任を完了。6周目橋本選手(岐阜)、7周目相本選手(山口)、8周目阿部選手(大分)、9周目・10周目HS原田選手(岡山)が、次々と先頭で通過します。須貝選手は失速して8周目あたりで周回遅れとなり、強制リタイヤ。結局、先頭責任完了の(ゴール順に)橋本、阿部、原田、相本の4選手が勝ち抜け、残り1枠は先頭通過1回も1着でゴールした小林選手が5位となり、決勝進出最後のキップをつかみました。

ここでお昼休みとなり、私もメインスタンド4Fの報道員控室に戻ってひと休みです。しかし、本業のCM作業の段取りなどをメール確認していると、あっという間にお昼休みは終わって、次の競技が始まります。

午後最初のプログラムは、少年男子ポイントレース予選です。ポイントレースは20〜30人の選手が出走し、中間周回(今回は5周ごと)の通過順位に従って1位から4位までにポイントが与えられ、その累計ポイントで順位が決まります。ゴール着順が1着でも優勝になる訳ではない、ゲーム性の高いレースです。予選の距離は16q(40周)で、40人が20人ずつ2つの組に分かれ、各組上位10人が決勝に進出します。和歌山県チームからは、少年個人ロードレースに出場した山本慧選手(和北高3年)が2組に出場します。

1組の20人がホイッスルの合図でスタート。1周のフォーメーションラップを経て、号砲が打ち鳴らされます。序盤は先頭が目まぐるしく入れ替わり、ポイント上位選手が拮抗する展開でしたが、第6スプリント(30周目)を1位で通過した小玉選手(福島)が11点でレースをリードします。

少年男子ポイントレース予選1組 第6スプリントを小玉が1位通過する

少年男子ポイントレース予選1組 第6スプリントを小玉(福島、白&虹線)が1位通過でポイント首位に立つ


そして奥村選手(奈良)が第7スプリント(35周目)を1位で通過すると、ポイント上位は混戦状態になります。と同時に、この時点でボーダーラインの想定は3点前後。すると、ノーポイント(0点)の選手の逆転や、レース中位あたりを走っている選手が着順でこぼれる可能性も出てきて、バンク内外から出されるチームスタッフの指示や、スタンドからの声援がさらに大きくなっていきました。

そして迎えたゴール。再度踏み直した中川選手(埼玉)が1着、5点を追加して逆転で組1位通過です。

少年男子ポイントレース予選1組 中川が1着でゴールして逆転でポイント首位に立つ

少年男子ポイントレース予選1組 中川(埼玉、青)が1着でゴールして逆転でポイント首位に立つ


そして2着でゴールした門田選手(東京)が、ボーダーライン上のポイント同点(3点)に飛び込んで来て、ゴール着順で上回りギリギリ10位で予選通過です。

続いて予選2組の20選手が登場です。個人ロードレースで早々にリタイヤした山本選手。スタートを前に、山本選手はやや緊張しているようにも見えましたが、逆境をはね返してどこまで頑張れるか、注目して見ることにしました。

少年男子ポイントレース予選2組 山本選手スタンバイ完了!

少年男子ポイントレース予選2組 山本選手スタンバイ完了!


スペシャルゼッケンの番号は18番。スタート位置のバンク外側金網沿いに移動すると、和北高の同級生(それも女子生徒)の真ん前です。「慧く〜ん、頑張れ〜!」という黄色い声援を一身に浴びていました。

山本選手のスタート位置は同級生の女子の目の前です

山本選手のスタート位置は同級生の女子の目の前です


「うらやまし〜なぁ」と思いつつも(バカ)、「慧くん、ここで頑張らな、男やないぞ!」と心の中で山本選手に言い聞かせました。そしてレースがスタート。

序盤から山本選手は積極的に先頭集団に位置します。そして最初のスプリント(5周目)で、山本選手は2位に入って3ポイントを獲得します。

少年男子ポイントレース予選2組 山本選手は積極的に前団へ

少年男子ポイントレース予選2組 第1スプリント(5周目) 山本(先頭から3番目)は積極的に前団でレースを進める


その後、石井選手(群馬)や梅本選手(香川)がアタックして第2スプリント(10周目)でポイントを奪うと、堀込選手(青森)が単独でアタックして第3(15周目)・第4(20周目)スプリントを、ともに1位で通過。10点を挙げてポイント首位に立ちます。山本選手も後続集団で脚を貯めながら追走し、第4スプリントを2位で通過して3点を追加します。

少年男子ポイントレース予選2組 2位集団の山本がポイントを奪いに行く

少年男子ポイントレース予選2組 第4スプリント(20周目) 2位集団の山本が徳田(京都、白&青)を交わして2位ポイント(3点)を奪う


最終スプリント(ゴール)を前に、予選通過のボーダーラインは4〜5点。その時点で6点の山本選手はほぼ予選通過濃厚となりましたが、ラスト3周を切ってから猛然と先頭集団へ追い上げ、ポイント追加を狙います。そしてスタンドの声援に後押しされ、見事1着でゴール。5点を追加して合計11点、ポイント1位で予選を通過しました。

少年男子ポイントレース予選2組 山本が1着。ポイント首位で予選通過する

少年男子ポイントレース予選2組 最終スプリント(ゴール) 山本が武山(山梨、白&紫)を寄せ付けず1着。ポイント首位で予選通過する


女子生徒の声援に後押しされて(何べんも言うな!)、見事な1位通過でした。そして私の眼はもう涙がこぼれる寸前のウルウル状態でした。

というのも、個人ロードレースで1周も持たずに強制リタイヤ。相当ショックだったのか、山本選手は首をうなだれてピット前でクールダウンをしていました。私が「なんで?」と首をかしげながらピットに近づこうとすると、上野監督が「来るんじゃない!」とばかりに大きく腕を振って接近を拒まれたくらい、チームにとってはショックな結果でした。その悔しさを乗り越えて、予選とはいえリベンジを果たしてくれたことに、胸が一杯になって泣きそうになってしまいました。同じ山本という名前ですが、親戚でも何でもありません。でも、この国体を目指して頑張って来た3年間の集大成を見せてくれたことに、「よく頑張った!」と声を掛けたくなるくらい、心の底から感動しました。

続いての種目は、成年男子ポイントレース予選です。少年と同様、予選の距離は16q(40周)で、44人が22人ずつ2つの組に分かれ、こちらも各組上位10人が決勝に進出します。和歌山県チームからは、成年個人ロードレースで優勝した窪木一茂選手(県教育庁)が早速1組に出場します。

スペシャルゼッケンが1番の窪木選手。スプリンターレーン側の先頭位置にスタンバイです。

成年男子ポイントレース1組 窪木選手がポールポジションにスタンバイ

成年男子ポイントレース予選1組 窪木選手がポールポジションにスタンバイ


スペシャルゼッケン1番の選手は、フォーメーションラップで先頭を走る義務があります。そして号砲。後続選手が一気にスタートダッシュを仕掛けてきます。第1スプリント(5周目)は、中村選手(熊本)が後続を千切って1位通過で5点を奪います。窪木選手は後続集団で、先頭交代を繰り返しながら脚を貯めます。すると、4人の選手がアタックして、後続集団を千切って行きます。

成年男子ポイントレース1組 序盤周回で4選手が抜け出す

成年男子ポイントレース予選1組 第2スプリント(10周目) 前から原井(福岡)、安原(大阪)、山下(愛媛)、池邊(神奈川)の4選手が後続を引き離す


第4スプリント(20周目)で荒井選手(宮城)も加わって、先頭集団は5人。その5選手が程なく後続集団に追い付き、周回遅れにします。この時点で5人の選手には、全選手の最後尾になる代わりに、ラップポイント(メイン集団を周回遅れにしたボーナス点)として20点が加えられます。つまり1周余計に走る代わりにボーナス点が与えられるのです。これでラップポイントを得た5選手は、予選通過が確実になりました。

そしてこの瞬間、先頭が、第2集団を走っていた窪木選手と片桐選手(新潟)の2人に入れ替わりました。ポイントレース特有のルールで、私も含めて今一つ理解できなかったものの「ルール上、窪木選手が先頭に入れ替わります」という場内実況にスタンドが沸きます。そして第5スプリント(25周目)で、窪木選手が1位通過で5点を獲得です。

成年男子ポイントレース1組 先頭に入れ替わった窪木と片桐

成年男子ポイントレース予選1組 第5スプリント(25周目) 窪木と片桐(新潟、白&緑&ピンク)が先頭に入れ替わり、ポイントを挙げる


すると第6スプリント(30周目)直前、先頭を走っていた片桐選手が、突然直線でブルーバンド(退避路)に入りました。片桐選手の自転車にアクシデント発生です。窪木選手は敢えて追い抜かずに、片桐選手に1位通過を譲ってレースを続行します。

成年男子ポイントレース1組 片桐にアクシデント発生!

成年男子ポイントレース予選予選1組 第6スプリント(30周目) 片桐にアクシデント発生!


片桐選手はどうやら後輪がパンクしたようで、BKの退避路最内で自転車ごと交換に乗り出します。ポイントレースでは、落車や車体故障の場合、ニュートラルとして規定周回(今回は3周)以内に戦列に戻れば、走ったのと同様に扱われるルールがあります。去年の都道府県対抗・女子ポイントレースで、落車した吉川美穂選手がニュートラルの扱いを受けて走ったことを思い出しました(その時の様子はこちら)。

3周後、片桐選手は戦列に復帰し、窪木選手の直後に位置します。そして先程のお返しとばかりに、片桐選手は第7スプリント(35周目)の1位通過を窪木選手に譲ります。

成年男子ポイントレース1組 窪木が片桐に譲られて第7スプリントを1位で通過

成年男子ポイントレース予選1組 第7スプリント(35周目) 窪木が片桐に譲られる形で1位で通過


写真を見比べて頂くと、片桐選手の自転車が完全に入れ替わっているのがお分かりになるかと思います。そして窪木選手と片桐選手は、レース終盤で後続集団に追い付き周回遅れにして、ラップポイント20点加算が認定されました。これで、ラップポイントを獲得した7選手は予選通過が事実上確定、残るは3枠です。そして最後のゴールスプリントを制して1着でゴールした中村選手が、第1スプリントに続く5点を追加して、10点で8位。中村選手に交わされた小玉選手が2位でゴールして合計6点で9位。3点で3選手が並んだ10位争いは、ゴール先着の高木選手(埼玉)が制しました。

窪木選手は結局33点の2位で決勝進出を決めました。冷静なレース運びに感心しつつも、決勝ではもっと頑張ってくれると感じました。

そんなことを思いながらふとカメラを見ると、なんと電池切れ寸前のサインが。「まずい!」と思いながらも、充電用のケーブルなどは持ち合わせていません。「会社に取りに帰ろうか」とも思いましたが、戻って来た時にはレースが終わっているかもしれないことから、予備のカメラ(かつて「ひ」型のホコリが入って往生したあのカメラ その時の様子はこちら)をカバンの中から出して来ざるを得なくなりました。


そのGに続く)
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