2015年10月10日

「紀の国わかやま国体」自転車競技会が開かれました(そのE)

9/26(日)〜10/1(木)の5日間、「紀の国わかやま国体」自転車競技が行われました。和歌山県チームが2年連続で総合優勝し、大会新記録も続出した今回の国体。和歌山県勢の活躍を中心に大会の様子を紹介する9回シリーズ(の予定)。今回が6回目です。


○競技4日目 9/30(水)

団体種目の上位入賞(優勝・準優勝1つずつ)で、競技別総合優勝に大きく前進した和歌山県チーム。この日は少年男子・成年男子スプリントの決勝が行われるほか、速度競走やポイントレースの中・長距離系の予選が行われるなど、種目構成がバラエティーあふれる一日です。

この日最初の種目は、少年男子4q速度競走の予選です。速度競走は、HS線・BK線をチェックポイントとして、先頭で通過するよう設定された回数(先頭責任回数)を完了した選手の着順で順位が決められます。ですから、先頭責任回数を完了できていなければ、たとえ全体のゴール着順が上でも、下位に回されるという種目です。先頭通過のタイミングを計る戦術と、何度も踏み直しができる脚力の、双方が求められます。

和歌山県チームからは、永橋湧也選手(和北高3年)が出場。小学生の頃から「競輪選手になりたい」とバイチャクラブ(愛好会)に参加して一生懸命走っていた永橋選手。そんな姿が目に焼き付いているほど、私にとって永橋選手は他の選手より身近な存在です。今夏の岸和田インターハイで、この種目よもやの準決勝敗退を喫しただけに、リベンジを果たしてほしいところです。

発走の時を待つ永橋選手

発走の時を待つ永橋選手


予選は41人が5組・各組8人(第1組だけ9人)に分かれて、各組上位4位までが準決勝に勝ち上がります。永橋選手は3組で登場です。先頭責任回数は3回で、スタートダッシュで大逃げを打てば、B→H→Bの3本連続で先頭責任を完了できます。実際、他の組で同様の作戦(中盤周回でアタックしてH→B→Hの場合も)を取って、あとは周回遅れにならない程度に脚を貯めて、流れ込みゴールできれば準決勝に進出です。

自分の子供を見つめるような、何とも言えない緊張感が私を襲います。そして号砲が鳴って、レースがスタート。カメラが手ブレになりそうなのを抑えながらシャッターを切ります。

レースは、スタートダッシュを決めた天春選手(三重)が1周目のBK線を取ります。

少年男子4q速度競走予選3組 天春(三重)がスタートダッシュを決める

少年男子4q速度競走予選3組 天春(三重、緑)がスタートダッシュを決める


永橋選手は、序盤は3〜4番手位置で脚を貯めます。すると、2周目1センターあたりからペースアップ。BK線を取りに行きます。

少年男子4q速度競走予選3組 永橋が2周目BK線を取る

少年男子4q速度競走予選3組 永橋が2周目BK線を取る


3周目に入るHS線は小池選手(群馬)に取られたものの、永橋選手はBK線でその小池選手を交わして、2回目のBK線を奪います。

少年男子4q速度競走予選3組 3周目BK線を永橋が取る

少年男子4q速度競走予選3組 3周目BK線を永橋が奪う


こうなれば、永橋選手の先頭責任回数はあと1回。HS・BKそれぞれで最低1回というルールもあります。ですから、なんとかこのままHSで先頭責任を完了したいところですが、それを承知しているからか、永橋の選手のペースは緩みません。

少年男子4q速度競走予選3組 4周目HS線を取るべく永橋が飛ばす

少年男子4q速度競走予選3組 4周目HS線を取るべく永橋が飛ばす


そして永橋選手はHS線を奪って、先頭責任を完了します。その後は、天春選手や前畠選手(宮崎)に先頭通過を譲りつつ、中盤周回以降は3人が飛び出して、先頭交代を繰り返しながら先頭集団を形成します。後続の選手は、先頭責任を奪いに追い上げることすら不可能なくらい、大きく車間が空いてしまいました。永橋選手は、このまま流れ込めば予選通過は間違いないところですが、最終周回ラストスパートを見せて1着でゴール。スタンドから大きな歓声が沸き起こりました。

少年男子4q速度競走予選3組 最終2センター3番手の永橋が1着通過を目指してスパートに入る

少年男子4q速度競走予選3組 最終2センター 3番手の永橋が1着通過を目指してスパートに入る


もうこの時点で、私の目はウルウル状態です。小さかった頃を知る永橋少年が、全国のトップ高校生を相手に、予選とはいえ1着です。レース後、お母さんとも握手して予選通過を共に喜びました。しかし準決勝は、約3時間後の12:20スタート。手放しで喜んでばかりはいられません。

続いては、成年男子4q速度競走の予選です。少年男子と同じく41人が出場し、5組・各組8人(第1組だけ9人)に分かれ、各組上位4位までが準決勝に勝ち上がります。和歌山県チームからは佐々木眞也選手(日大)が、最終組・5組で出場です。

成年男子4q速度競走予選5組 佐々木選手スタンバイ完了!

成年男子4q速度競走予選5組 佐々木選手スタンバイ完了!


号砲と同時にダッシュを決めた原井選手(兵庫)が、最初のBK・HSの2本を先頭で通過。しかし後続集団が2周目2角で原井選手に追いつきました。ここに佐々木選手も位置しています。

成年男子4q速度競走予選5組 2周目2角で後続集団が原井選手に追いつく

成年男子4q速度競走予選5組 2周目2角で後続集団が原井選手(兵庫、グレー)に追いつく


そして3周目に入るのを前に、佐々木選手が単騎で飛び出してHS線を奪います。

成年男子4q速度競走予選5組 2周目4角で佐々木選手が単騎で飛び出す

成年男子4q速度競走予選5組 2周目4角で佐々木選手が単騎で飛び出す


さらに佐々木選手は、後続に大差をつけて3周目のBKと4周目のHSを先頭で通過。先頭責任を完了させます。スタンドからは大きな歓声が上がりました。

成年男子4q速度競走予選5組 3周目4角 佐々木選手が大差をつけて先頭責任を完了させる

成年男子4q速度競走予選5組 3周目4角 佐々木選手が大差をつけて先頭責任を完了させる


これで佐々木選手は後続集団に下がります。しかしその後、須貝選手(茨城)が単騎で逃げて先頭責任を完了し、中盤以降は高士選手(三重)と阿部選手(大分)の2人が抜け出す展開です。予選通過確実となった佐々木選手でしたが、次第に後続集団から遅れ始め、なんと周回遅れとなって強制リタイヤになってしまいました。


続く種目は、少年男子スプリント1/2決勝(準決勝)の1回戦です。スプリントは、1/2決勝から3本勝負の2本先勝となります。少年男子は、布居選手が中島選手(山梨)と対戦です。中島選手は予選2位、タイム差は約0.22秒ですが、前日からの勢いで決勝進出を期待したいところです。

インスタートの布居選手。先行義務があるため、半車身前に出ながら、中島選手の出方を窺います。そして両選手は、バンク大外を並走しながら仕掛けるタイミングを計ります。

少年男子スプリント1/2決勝2組 2周目1角 布居と中島が仕掛けるタイミングを計る

少年男子スプリント1/2決勝2組 1本目2周目1角 布居と中島が仕掛けるタイミングを計る


そして2角の山おろしで中島選手が先に仕掛けると、併せて布居選手もダッシュ。中島選手が半車身前に出ますが、布居選手もスプリンターレーン(内外線間)を守ったまま、直線に向きます。

少年男子スプリント1/2決勝2組 最終2センター 布居と中島がサイドバイサイド

少年男子スプリント1/2決勝2組 1本目最終2センター 布居と中島がサイド・バイ・サイドのつば競り合いを演じる


結局、布居が直線で中島を差し返して先着、1勝を挙げます。スタンドは、手に汗握るサイド・バイ・サイドの熱戦に、声援とも歓声ともつかない興奮のるつぼとなりました。そして、先着した布居選手に大きな拍手が送られました。

白熱の好レースの興奮冷めやらぬまま、次の種目・成年男子スプリント1/2決勝1回戦に移ります。橋本選手の相手は曽我選手(熊本)。予選3位で、橋本選手らと同様、大会新記録のタイムを出しています。タイム差は0.02秒。ここまで来ると差は無いのと同じです。

橋本選手はアウトスタート。インスタートの曽我選手を前にやって、直後をピタリと追走です。

成年男子スプリント1/2決勝2組 1周目4角 曽我の直後で橋本が待機

成年男子スプリント1/2決勝2組 1本目1周目4角 曽我の直後で橋本がタイミングを待つ


曽我選手がバンク上段に上がると、橋本選手はスッと内に入って曽我選手の動きをにらみます。そして1センターの山おろしで曽我選手が仕掛けると、橋本選手もスプリンターレーンに入って、サイド・バイ・サイド。少年男子と同様の展開に、スタンドからは大きな声援が両選手に飛びます。

成年男子スプリント1/2決勝2組 最終4角 橋本と曽我が激しく踏み合う

成年男子スプリント1/2決勝2組 1本目最終4角 橋本と曽我が激しく踏み合う


結局、こちらも橋本が差し返す形で先着。2本目に期待をつなげました。

続いては、少年男子ケイリン2回戦です。6人ずつ4組に分かれ、上位3着までが準決勝に進みます。和歌山県チームの選手はいないものの、バンクに熱い注目が集まります。

少年男子ケイリン2回戦1組 最終3角の攻防

少年男子ケイリン2回戦1組 最終3角の攻防
正攻法から突っ張った山本光洋(岐阜、緑)が先行。しかし、最終1角から早目に巻き返した山本英弘(岐阜、赤&白)が捲り切って1着。2着は山本英を追走した富(山口、赤)、3着は富を追走の桑名(埼玉、白&青)が続き、ここまでが準決勝進出を決める。



少年男子ケイリン2回戦2組 最終3角の攻防

少年男子ケイリン2回戦2組 最終3角の攻防
正攻法の三浦(宮城、青&赤)が突っ張り先行し、好回転で後続を寄せ付けず1着になる。三浦を終始マークした伊藤(沖縄、青&白縦線)が2着。4番手から山下(山梨、白&紫)が捲り上げるも、3番手を死守した福富(栃木、緑)が3着を確保する


少年男子ケイリン2回戦3組 最終2角の攻防

少年男子ケイリン2回戦3組 最終2角の攻防
正攻法の吉岡(福岡、青&紺)がそのまま先行。番手の東矢(熊本、白&オレンジ)が最終4角から差し交わして1着。東矢をマークした坂田(佐賀、白)が2着に続く。最終1角4番手から捲った福永(大阪、白&青二本線)に乗って、嵯峨(青森、青&緑&赤)が直線突っ込んで3着に入る



少年男子ケイリン2回戦4組 最終3角の攻防

少年男子ケイリン2回戦4組 最終3角の攻防
正攻法から先行した長澤(秋田、白&赤線)の番手から丹内(岩手、白)が捲る。しかし丹内を追走した吉田(福井、黄色&赤)が差し交わして1着。丹内は2着に残り、吉田をマークした武田(京都、白&青)が3着に入り、準決勝進出を決める



続いては、成年男子ケイリン2回戦です。少年男子と同様、6人ずつ4組に分かれ、上位3着までが準決勝に進みます。和歌山県チームの岡本選手は、3組に登場です。

成年男子ケイリン2回戦1組 最終4角の攻防

成年男子ケイリン2回戦1組 最終4角の攻防
正攻法から成り行き先行した金内(福島、白&虹線)が先頭も、終始番手を回った山本(白&赤二本線)が差して1着。3番手位置から捲り気味に追い上げた佐野(岐阜、赤)が2着に入り、中割り気味に伸びた板倉(千葉、黄緑)が3着に突っ込む



成年男子ケイリン2回戦2組 最終2センターの攻防

成年男子ケイリン2回戦2組 最終2センターの攻防
ペーサー退避からそのまま吉田(広島、白&赤)が逃げを打つも、最終3角から番手捲りを放った佐藤(青森、青&緑)が後続を寄せ付けず1着。藤根(岩手、白)が佐藤を追走するも、佐藤をマークした黒枝(大分、ピンク&青)がその上を踏み上げて2着。藤根は3着となる



そして、岡本選手が登場する3組。一際大きな声援がスタンドから送られました。

レースは号砲で、碇(福井)が飛び出して正攻法に付きます。周回の位置取りは、碇−岡本(和歌山)−深沢(山梨)−堀田(三重)−中野(京都)−坂口(兵庫)の順。ペーサー退避から、坂口が一気にカマシ先行を狙いに行きますが、これを見た碇が併せて先行。そしてこのスピードをもらう形で、最終2角から岡本が番手捲りを打ちます。岡本の仕掛けを深沢が追走し、岡本と深沢が後続を大きく離してしまいます。

成年男子ケイリン2回戦3組 最終4角の攻防

成年男子ケイリン2回戦3組 最終4角の攻防
碇(福井、黄&赤)の先行を、最終2角から岡本(和歌山、オレンジ&青)が番手捲り。これを追走した深沢(山梨、白&紫)が差し交わしを狙う



そしてゴール寸前で、深沢が岡本を交わして1着、岡本は2着になりました。そして準決勝に残れる3着争いは、後続の追撃をこらえた碇が確保しました。

2着に終わったものの、岡本選手には大きな拍手が送られていました。勝ち上がったことは確かに素晴らしいのですが、レース内容が良かったことはスタンドのファンや関係者がよく分かっています。積極果敢なレースを披露したのですから、称賛されて当然です。私も心の中で拍手を送りました。

そして、最終4組がスタートです。

成年男子ケイリン2回戦4組 最終3角の攻防

成年男子ケイリン2回戦4組 最終3角の攻防
正攻法から飛び出した宮本(山口、赤&黒)が先行も、番手から森本(高知、黄&青)が早目の抜け出しを狙う。森本をマークした小林(福岡、青&水色)が、直線で車を伸ばして1着。森本が2着に粘り、内々すくって伸びた山地(香川、青&白)が3着に突っ込む



続いては、少年男子スプリント1/2決勝の2本目です。

1組目は梶原選手(福岡)と田中選手(岡山)との対戦。1本目は、先行する田中選手をゴール寸前差し交わした梶原選手が取っています。2本目は、インスタートの梶原選手が最終2角の山おろしで先行し、田中選手が追いかける展開です。

少年男子スプリント1/2決勝1組 梶原が田中を先行

少年男子スプリント1/2決勝1組 2本目最終4角 梶原(福岡、紺&青)が、田中(岡山、白&ピンク袖)を先行


結局、梶原がそのまま押し切って先着。2連勝で決勝進出を決めました。

そして続く2組。布居選手に期待がかかります。1本目とは逆でインスタートの布居選手。先行の義務がありますが、後ろに位置した中島選手の動きを警戒しながら、仕掛けるタイミングを計ります。

少年男子スプリント1/2決勝2組 布居が中島の動きを警戒しつつ先行

少年男子スプリント1/2決勝2組 2本目1周目4角 布居が中島の動きを警戒しつつ先行する


そして山おろしをかけてスパートした最終2角。先行した布居選手が2車身リードします。

少年男子スプリント1/2決勝2組 布居が先行し中島を2車身リード

少年男子スプリント1/2決勝2組 2本目最終2角 布居が先行し中島を2車身リードする


そして、布居選手が中島選手の追撃を抑えて先着。2連勝で決勝進出を決めました。応援に来た和北高の同級生も含めて、スタンドからは祝福の大歓声が上がり、布居選手も手を挙げて声援に応えていました。

決勝進出を決めて、声援に応える布居

決勝進出を決めて、声援に応える布居


そしてスタンドの興奮冷めやらぬまま、成年男子スプリント1/2決勝の2本目に移ります。1組は橋本選手(佐賀)と坂本選手(青森)との対戦。1本目は、最終2角から先行した坂本選手を2センターで捉えた橋本選手が先着しています。

そして迎えた2本目。インスタートの橋本選手が先行し、最終1角の山おろしでスパート、先行します。坂本選手も必死に喰らいつき、差し交わしを狙います。

成年男子スプリント1/2決勝1組 橋本が坂本を先行する

成年男子スプリント1/2決勝1組 2本目最終4角 先に仕掛けた橋本が坂本を先行する


結局、橋本が坂本を寄せ付けず先着し、2連勝で決勝進出を決めました。

続いては2組。橋本選手が曽我選手を下せば、決勝進出です。インスタートの橋本選手は、先行義務があるため前に出ます。最終の2周目に入って、車を寄せてくる曽我選手の動きを警戒しつつ、橋本選手はスパートのタイミングを計ります。

成年男子スプリント1/2決勝2組 先行する橋本に曽我が車を寄せてくる

成年男子スプリント1/2決勝2組 最終1角 先行する橋本に曽我が車を寄せてくる


そして1センターで橋本選手がけん制で内に蛇行した瞬間、曽我選手がスパート。橋本選手は一瞬遅れたものの、態勢を立て直してピッタリ後ろを追走します。そして2センターから、一気に曽我選手を交わしにかかります。

成年男子スプリント1/2決勝2組 先行を許した橋本が曽我を交わしにかかる

成年男子スプリント1/2決勝2組 最終4角 先行を許した橋本が曽我を交わしにかかる


デッドヒートの末、橋本選手が先着して2連勝。決勝進出を決めました。こちらも大きな拍手と歓声が橋本選手に送られました。

これで、スプリントは少年・成年ともに決勝進出。成年男子は橋本対決(和歌山は橋本凌甫、熊本は橋本瑠偉)、少年男子は大地対決(和歌山は布居大地、福岡は梶原大地)という点も注目ですが、地元和歌山の少年・成年スプリントアベック優勝への期待が高まってきました。


そのFへ続く)
この記事へのコメント
素晴らしいリポーターぶりです!臨場感最高のコメントと画像です。早くFが読みたい。画像は恐らくブレブレな話ですね。和歌山強し。
Posted by 岸和田オヤジ at 2015年10月10日 23:27
岸和田オヤジさんへ

お褒めのコメントありがとうございます。
「早くFを」とのご要望ですが、只今、鋭意更新作業中です。今しばらくお待ちください。明日(10/12)には更新できると思います。
Posted by 山本D at 2015年10月11日 15:11
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